推し一筋なので彼氏はいりません
第三節
年が明け、なんとか冬休みの課題を終わらせたところで冬休みも明け、早1週間。
3年生は自由登校になって、来ない人が大半を占めていると思う。
けど佐山先輩は以前と変わらず、毎朝私の教室に来ていた。
「先輩のクラスって他にも学校来る人いるんですか?」
「5、6人は来てますよ。
みんな推薦で受かったらしいです。」
「学校来て何するんですか?」
「大学からの課題が与えられて、それをやっている人が多いです。
みんなその日の分が終わったら帰るって感じですかね。」
「自由登校ってそんな感じなんですね。」
「はい。
あの、今日菅野さんの授業が終わるまで待ってるので、よかったら一緒に帰りませんか?」
「そんな時間まで待つのはさすがに暇じゃないですか?」
「本でも読んでたらすぐです。
もう卒業まであまり時間が無いので、菅野さんと少しでも長く過ごせたら嬉しいなと思ったのですが、……ダメですか?」
私側には特にデメリットはないし、そんな言われ方したら断るに断れない
「それならいいですよ。」
「ありがとうございます。」
ニコッと笑ってみせる先輩。
そっか。
あと1ヶ月くらいで先輩卒業しちゃうんだ。
先輩はあまりにも受験生らしくなかったし、全然実感わかない。
「先輩。」
「はい。」
「ただ帰るだけじゃなくて、ドーナツ食べて帰りません?うちと方向違うけど、食べたくて。」
「もちろんいいですよ。
菅野さんから誘ってくれるなんて嬉しいです。」
「じゃあまた放課後に。」
「はい。」