宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと
「どうしよう。小松さんひとりにしたくないな」
「じゃあ、宮野くんのところに行ってもいい?」
「いや、今は外に出ない方がいい」

 急に真剣な表情になった宮野くん。

「もしかして、外に、何かいる?」
「いや、何もいないよ。ここの隅で寝てもいい?」
「う、うん」 
「じゃあ、俺、寝るわ」
「うん。私も寝るね。おやすみなさい」
「おぅ、おやすみ」

 テントの隅で、向こう側を向いて眠る宮野くん。
 私は彼の背中を見つめた。

 この狭い空間で、ふたりきりで寝るの?
 こんなことになるなんて、想像したことなかった。

 片思いの人。
 憧れの人。
 どんなに手をのばしても届かない人。

 宮野くん――。

 しばらく見つめてから、反対側の隅でタオルを掛けて横になった。

 目を閉じても眠れない。
 宮野くんのいない方向を向いているのに、頭の中が宮野くんでいっぱいになって。

 ずっと自分の心臓の音もうるさいし。

 外はあっという間に明るくなってきて、結局眠れたのは一瞬だけな感じだった。

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