宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと
 このドレスのままじゃあ眠れなさそう。

 パジャマをタブレットから出して着替えた。
 あと、明かりとかも欲しいな。
 小さなランタンを出して、明かりをつけた。

 暗さはなくなったけれど、なんか寂しい――。

 その時、ガサガサって音がして、唸り声みたいな音も聞こえた。

 どうしよう。怖い。

 ちょっとずつその音が大きくなってくる。

 早く通り過ぎてくれますように!

 そう願いながらじっとする。
 震えが止まらないよ。宮野くんのところに行きたい。

 ぎゅっと目を閉じた。

 その時、ガサガサってなって、テントのチャックが開く音がした。

 怖い! 私はもうダメかもしれない!

「大丈夫か?」

 ん? 今耳元で聞こえている声って。
 目を開けたら目の前に宮野くんがいた。

「宮野くん、どうして?」
「今唸り声とか聞こえたから……小松、大丈夫かなって」
「心配してくれたの? ありがとう。ひとりで怖かった」

 宮野くんが心配してこっちに来てくれたありがたさとか、怖さとか……色んな気持ちが頭の中でごちゃごちゃになって、泣きそうになる。 

「だよな、怖いよな。ひとりにさせて、ごめん」
 違うの。宮野くんは何も悪くないの。
 そう言いたいのに言葉が上手く出てこない。       
「小松、いい? ちょっとごめん」

 そう言うと、宮野くんが私をぎゅって。  
 すごくドキドキしちゃう。
 あったかい。宮野くん、あたたかいよ。
 体温もだけど、心もあたたかくて。
 宮野くんへの『好き』って思いが溢れてくる。

 ――宮野くん、ずっと好き。

 もう少しこのまま一緒にいたい。

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