宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと
「なんとなく、分かってたよ」
「本当に? なんで分かったの?」
「だってふたり、すごく仲良しだし」

 言葉にすると、ギュッと胸が痛くなった。

 切ないなぁ。

 残念だけどその恋、素直に応援出来ないよ……。

「えっ? 同じクラスだけど、あんまり話したことなかったよ!」

「ウソだ! あんなに仲良しで……」

「だって、彼、クラスでひとりでいること多くない? いつも本とか読んでて」

「本、読んでなくない?」

「読んでるよ。だから新井くんって、ずっと私の中で本がすごく似合うイメージで……」

「ちょっと待って? 新井くん? 宮野くんでなくて?」

「そだよ。ってかなんで陽希の名前が出てくるの?私にとって彼は、ずっと友達かな? 恋の対象にはならないと思う」

 葵ちゃんはいつも、何でも正直にいう。

 だから葵ちゃんの言葉は本当だと思う。
 別の人が好きでほっとした。

「じゃあ、どうしてあの時、宮野くんとふたりであの場所にいたの?」

「結芽が彼を誘えなかったら、陽希が結芽を誘うように仕組もうと思ってね、一緒に場所の確認してたの」

「私のために?」

「そうだよ! それにね、陽希って多分……」

「宮野くんが何? 気になる」

「ううん、なんでもない。それよりも私も、ここに住んでいい?」

 なんだろう。上手く話をはぐらかされた気がするなぁ。

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