覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)
「なに見てるの? 衣茉ちゃん」
珍しく社食で、明子、八尋、吉行と同じテーブルになった衣茉は、食べ終わったあと、真剣な顔でスマホを開いて見ていた。
「いえ、最近、この通販サイトがやってる占いが当たりすぎて怖いので。
今週の運勢とか見るとき、手が震えるんです」
「今まで、なにが当たってたんだ?」
と遅れて座ったので、まだカレーを食べていた八尋が訊いてくる。
「今年の運勢が今のところ当たってるんですよ。
物をなくすとか。
タンスの角に小指をぶつけるとか」
「……今年一年の運勢にそれが書いてあったら。
まあ、いつか何処かで当たるんだろうって思う内容だよな」
と八尋は言ったが、いやいやいや、と吉行は衣茉の肩を持つ。
「タンスの角に小指はなかなかぶつけないよ」
「なに言ってるんだ。
こいつなら、容易にぶつけるぞ」
と八尋が言い、
「うちは、そもそもタンスがないわ」
と明子が呟く。