覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)
 


「お菓子買ってきましたよ。
 はい、コーヒー。

 なんか楽しくなってきましたねっ」

 新幹線の中で、衣茉はちょっと浮かれていた。

「いろいろなドキドキが見つかりそうです。
 一緒に来てくださってありがとうございますっ」
と祈るように見ると、通路側にいる八尋は何故か身を引いた。

 八尋はまた、窓際の席を譲ってくれていた。

 あとで交代しよう、と思いながら衣茉は言う。

「旅のドキドキ。

 新幹線に乗る前、おやつを買うドキドキ。

 自由席なので、座れるかのドキドキ」

「……あまりドキドキするな。
 行く意味なくなるから」
と八尋に言われる。
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