こじらせイケメン葉澄くんの愛が重い!
〇下駄箱で追いつき、潤は葉澄の制服の裾を掴んで引き留めた。

潤「み、みかどくんっ」
潤「あの、傷つけたならごめんっ! わたし、彼氏作りたいとかそういう気持ちが全然なくて。御門くんが嫌とかじゃないの」
葉澄「俺が嫌なわけじゃない……」

 疑い深そうな葉澄が振り返る。

葉澄「それ、本当? 本当に俺が嫌なわけじゃない?」
葉澄「勝手にインタビューで喋られて迷惑だなぁとか、俺と親しくしているせいで他の女子に嫌がらせを受けているとか、そもそも隣の席だから仲良くしてやってただけなのに何こいつ調子に乗って告白してきてキモッとか思ってない?」

 じっとりしたテンションで喋る葉澄。
 イケメンだからヤンデレっぽいセリフを言っても様になるが、ネガティブ思考全開の葉澄に潤はやや戸惑ってしまう。

潤(葉澄くんってクールな人だと思ってたけど……)

 その間も葉澄はくどくどと話し続けている。「本当はこんなにすぐに告白するつもりなんてなかった。もう少し仲良くなってからって思ってたんだけど、あの動画がこんなに早く公開されるなんて思ってもみなくて」云々。

潤(めちゃくちゃ喋る)

 いつまでも喋っていそうな葉澄に潤は話の流れを変える。

潤「あの、でも、わたしたちって知り合ったばっかりだよね? わたしの何をそんなに気に入ってくれたのかよくわからないんだけど……」
葉澄「そうやって普通に喋りかけてくれるところだよ」
葉澄「俺によく思われようと変にかしこまったり、遠巻きにしないでくれてすごく嬉しかったんだ……」
潤「(インタビュー動画を思い出す)人見知りなんだっけ?」
葉澄「そう」
葉澄「学校はあんまり好きじゃないけど……、佐々木さんと一緒にいるのは、好き」

潤(それは恋というより友情なのでは……)

 イケメンだがいろいろとこじらせていそうな葉澄のことを放っておけず、潤は提案した。

潤「さっきの告白の返事だけど……、友達から始める、じゃだめかなぁ?」
葉澄「俺、男女の友情は成立しないと思ってる派なんだけど」

 葉澄は一瞬断りそうな雰囲気を見せるが、

葉澄「……いいよ。とりあえず『友達』で」
葉澄「佐々木さんに振り向いてもらえるように頑張るから」

 ニッと笑う葉澄の色っぽい表情にドキッとしてしまう潤。
 予鈴が鳴る。

潤「あっ、やば。教室戻らなきゃ」

 葉澄を促すと手を差し出される。

葉澄「手、繋いでくれる?」
潤「へっ?」
葉澄「だって俺、クラスのみんなの前で振られてるんだよ⁉ こうでもしてくれなきゃかっこ悪くて帰れないんだけど」
潤「わ、わかった……」

 手を繋ぐ。葉澄の手は大きくて骨っぽい。

潤「おお……、わたし、モデルと手を繋いでしまっている」

 その色気のない返答に葉澄は大喜び。
 片手で顔を抑えて悶えている。

葉澄「佐々木さんのそういうとこ、ほんと好き」
潤「御門くんの喜ぶポイントってよくわからないね」

潤(なんだかよくわからない人に懐かれちゃったなぁ……)

 二人は教室に帰る。


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