捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました


 俺の愛しい番に手を出したらどうなるか、地獄を見せてやる。
 死んだ方がマシだと思うくらいの地獄を、その身に刻み込んでやる。


 沸々と心の奥底から湧きあがる怒りが、俺の本能を呼び覚ましていく。
 今まで眠っていた竜の血が踊り狂い、激情のままに番を取り戻せと責め立てる。
 紅く染まる視界に俺の意識は飲み込まれていった。

 俺の唯一。
 俺のすべて。

 やっと見つけた、俺の愛しいロザリア。

 それを奪うのは誰だ?
 切り刻んで塵にしてもまだ足りない。
 番を奪われたのなら、この世界ごと破壊してや————



「アレス!! 正気に戻れ!!」
「っ! 父……上?」

 目の前にいるのは珍しく真面目な表情をした父上だった。
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