捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「そうじゃないと、このまま朝まで抱きまくって離せなくなるけどいいのか? ロザリア」

 耳元で囁かれる艶のある声に腰が砕けそうになった。少しだけ耳にかかる吐息にゾクリと身体が震える。
 抱かれるのは嫌ではないけど、今はダメだ。強い意志で煩悩を頭から追い払う。

「っ! それはダメッ! せ、専属執事でお願いします……」
「承知しました。お嬢様、さあ、最後の詰めに参りましょう」

 この変り身……! ズルいわっ! こんなの翻弄されるしかないじゃないのよっ!!
 本当にうちの専属執事が優秀すぎてツラい……!!



 アレスによると竜王様たちはすでにお父様たちの救出を終えて、国王の謁見室にいるということだった。竜の血が目覚めて感覚が鋭くなり、ざっくりとした居場所ならわかるらしい。
 アレスがウィルバート殿下を小脇に抱えて、転移魔法で移動する。白い光が消え去り目を開けると、絢爛豪華な部屋の中にいた。
 すぐに馴染みのある声が耳に届く。

「あー、やっと来たね。遅かったから心配しちゃったよ」

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