捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「どうやらお前は信頼するに値しないようだな。サラ、準備したものを頼む」
「はい、こちらにございます」

 分厚い書類の束と映像を保存するための水晶が竜王様に手渡される。

「ここにすべての調査結果が記されてある。このような戯言に惑わされると思ったのか?」

 もう国王陛下は何も言えなくなっていた。王妃殿下もブルブルと震えているだけだ。後ろにいる第二王子夫妻は今は亡き側室様が産んだ王子だからと離宮に追いやられ接点すらなかった。それなのに、こんなことに巻き込まれて可哀想だとすら思う。でもすぐにクライブ殿下がここに呼ばれた理由が明らかになった。

「我が国と戦争をしてこの国の最後の王となるか、それともそこの第二王子に王位を譲って引退するか、今この場で選べ」
「そんな……!」
「もうお前の話は聞くに値しない。さあ、今すぐ選べ」
「…………第二王子に……王位を、譲ります」
「よし、では我が証人となろう。今この時をもって新しい国王クライブ・リオ・アステルの誕生だ」

 竜王様の言葉に国王陛下は呆然と床を見つめていた。
 国王となったクライブ殿下がマリアナ様と一緒に竜王様の足元までやってきて膝をつく。

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