捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 アレスが持ってきてくれた具沢山のスープで胃袋を満たしてホッと一息ついた。この一週間、決まった時間に食事を摂っていなかった。流されてしまう自分もいけないのだと強く思う。

「ねえ、私こんな生活サイクルじゃダメだと思うの。もっと健康的な生活にしないと身体に悪いと思うのよ」
「それは確かにそうだな。……俺も少し落ちついたし、食事は時間通り食べるようにしよう」
「よかったわ! わかってくれたのね! それなら私ちゃんと着替えてくるわ」
「え?」
「えっ?」

 私何かおかしなことを言ったかしら? 健康的な生活で規則正しく過ごすなら、こんな格好ではいられないと思うのだけど。

「ロザリア、今は蜜月だ」
「ええ、そうね。三ヶ月はゆっくりしていいと聞いていいるわ。それが竜人の習慣だって」
「うん、蜜月のあいだは番と深く繋がってお互いに唯一の存在だと刻み込んでいくんだ」
「わかるわ。でも着替えるくらいはいいでしょう?」

 アレスが珍しく素直じゃない。いつもなら是と頷いて着替えを持ってきてくれるくらいだ。専属執事の魔法契約は解除したままだから、自分で持ってくるつもりではあるけれど。

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