捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました

16話 強すぎる専属執事


 魔道具の販売は順調だった。いや、順調すぎた。
 先日、奥様へのプレゼントをオーダーで注文した方がお客様をたくさん紹介してくださって、かつてない量の注文が舞い込んでいた。魔道具の作成に追われていた私は素材庫を見渡して愕然とする。

「アレス、マズいわ……素材が足りなくなりそう!」
「そうですね、最近の受注量では追いつかなくなりそうです。私が素材集めに出られればいいのですが、それだと店舗の運用に支障が出ますし……」

 アレスが素材集めに行くと受付から接客、魔導具の作成まで私ひとりでこなす事になる。アルバイトを募集しても誰も応募して来なくて、仕方なくふたりで回している状態だ。

 素材の残量からして、いくらアレスだと言っても素材採集に一週間は必要だろう。納期の迫っている受注もあるし、その間ひとりで店を回すのは無理だ。
 それならいっそのこと、ふたりで素材を集めたら半分の日数で採集できるのはないかと思いついた。

「わかったわ! ここは臨時休業にして素材集めに行きましょう!」

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