幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~

幸せな結婚

惜しまれつつも軍を除隊したギュンターは
そのままロートシルトグループに入社して、
父の秘書として世界を移動する忙しい毎日を過ごすようになった。
マグノリアにいるのは1カ月のうちでわずか1/3である。

世界中のビジネスマンと渡り合うことが出来る仕事には
とてもやりがいを感じつつ、
結婚式の準備をクララに任せっきりになっていることに申し訳なさを感じていた。
そのためギュンターはクララの望む結婚式を挙げさせてあげようと決意した。

貴族の結婚式と言うと教会で行われるのが一般的だ。
王都のど真ん中にある大聖堂はステンドグラスがとても美しく、
女の子たちの憧れの教会だったが、
ここで結婚式を挙げるのは莫大な費用がかかる。
クララが望むならお金は気にしなくていいよと伝えていたが、
クララは首を横に振った。
「私、ガーデン挙式が良いわ。」

クララたっての希望で結婚式はラーデマッハー伯爵家の
広大な庭園で執り行われることとなった。
結婚式のためだけにガラスのチャペルが設置される。
総額でいくらかかったのか分からないが、
それを気前よくポンと払えるのだからロートシルト家の財力は相当なものなのだろう。
結婚式にはユリウス国王も出席してくれることになっている。
マグノリア経済界の大物一族と軍閥の名門一族が縁を結ぶこの結婚式は、
王家に勝るとも劣らない豪華なものになるだろうと皆が口々に噂していた。
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