捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「我はラクテウス王国の国王、竜王である。この場にて宣言する。ここでは我の代理として王太子妃ロザリアを任命する。彼女の言葉は我の言葉、また彼女の決定は竜王の決定だと心得よ」

 竜王様の凛とした声が静かに、だが確かにここにいる全員に届いた。ざわりと声が上がるも、竜王様のひと睨みですぐに静寂を取り戻す。

「ロザリアとアレスはこちらへ」

 その声掛けでアレスと玉座へ進み、竜王様に促されるまま私は玉座に腰を下ろした。アレスは玉座の左側に、竜王様は右側に寄り添うように立っている。

 私は優雅に足を組み、王太子妃として培ってきた冷酷な笑みを浮かべた。

「まずは我が最愛の夫、ラクテウス王国王太子であるアレスの暗殺未遂について、詳しく説明いたします」

 今度こそざわざわと高官や騎士、高位貴族たちが騒ぎ出す。その中には私と契約を結んだオースティン伯爵もいた。誠実なオースティン伯爵は不安げに事の成り行きを見守っている。

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