捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2

6話 目的は販路拡大です

     * * *



「ラクテウス王国より、アレス王太子殿下ならびにロザリア妃殿下のご入場!!」

 会場内へ響く高らかなラッパと係の宣言に(いざな)われ会場へ足を踏み入れると、会場中の視線が集まった。(ざわ)つく参加者たちを尻目に、私とアレスは優雅に進んでいく。

 ブルリア帝国の建国記念パーティーには、帝国の高位貴族はもちろん、各国の国王夫妻や外交官が参加していた。アステル王国ではあまり目にする機会がなかった種族もいる。

 獣型の耳や尻尾を持ち、身体能力に恵まれた獣人。魔力の扱いに長け、どんな魔法も操る魔人。
 今回は建国二百年ということもあり、世界中からさまざまな大勢の王侯貴族たちが集まっていた。

「これは……新しい販路を開拓するのにもってこいだわ……!」
「販路の開拓……? 魔道具の?」
「ええ、もちろんよ。ラクテウス王国を魔道具で豊かにするのが、私たち王太子夫妻の役目でしょう? 国内は十分だから、次は世界中に流通経路を作りたいの」
「さすが俺のロザリアだ。いつでも誠実で聡明で頼り甲斐がある」

 そう言って、アレスがうっとりした微笑みを浮かべると、周囲から女性の黄色い声が上がった。さらに輝きを増したアレスに、私の心臓も大きく鼓動する。
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