捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「ふん、調子にだけは乗るな」
「お兄様こそ、ちゃんとやってよ! アレス殿下ほどわたくしを引き立たせる配色で、なおかつ神にも負けなくらい美しい男なんて他にいないのだから。あの人と結婚できないなら、誰と結婚しても同じだわ」
「誰にものを言っている。私に惚れない女など、この世にはいない」

 私の皇太子という地位に加えて、ほんの少し微笑むだけでどんな女でも頬を染めるのだ。
 自分の顔立ちが整っているのはわかっているし、役に立つから利用もしてきた。あのロザリアだって同じことだ。私が求めるのに拒否することなどありえない。

「いいか、必ずあの夫婦を離婚に追い込み、それぞれの伴侶を得るのだぞ」
「わかってるわよ。絶対に奪い取ってみせるわ!」

 私とセラフィーナはしばし共同戦線を張ることにした。


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