捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 ファステリア王国——それはブルリア帝国とアステル王国の西に位置する獣人の国だ。国土の七割が山岳地帯で、山の中に街や城があり、彼らの身体能力がなければ発展するのが難しい地形で繁栄してきた。

 獣人とは獣の耳と尻尾を持ち、魔力は少ないけれどその分身体能力が抜群に高い種族だ。アステル王国ではあまり見かけることがなかったけれど、帝国ではよく見かけている。

 狼や虎、兎、犬、猫などさまざまな種族がいる。耳と尻尾がついている以外、見た目は人間と変わらない。

「ファステリアですね、ありがとうございます。他の素材はやはりこちらには置いてませんか?」
「ああ、悪いな。今用意できるのはこれだけだ。取り寄せもできるが、そうだな……二カ月くらいかかるがどうする?」

 二カ月と聞いて、笑顔が引きつった。
 無理だ、この状態が二カ月も続くのは無理だ。時間の問題ではなく、私とアレスの間にあのふたりが入った状態で二カ月も耐えられない。いくら私でもきっと暴走してしまう。

「二カ月ですか……少し急いでまして、他に早い方法はありますか?」
「ああ、それなら自分たちで探しにいく方が早いな。素材が手に入る場所は知ってるか?」
「では探しにいきます! 情報料ならお支払いしますので教えていただけませんか!?」

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