捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 ロザリアの部屋に入り後ろ手で鍵をかけると、カチリと金属の接触音が静かな部屋に響く。邪魔が入らないよう、同時に防音と侵入禁止の結界も張っておいた。
 俺はこらえきれず、ロザリアの薄紅色の唇を貪った。とろけるような極上の味わいに、愛しさが込み上げる。

「アレス、待って。先に湯浴みしたいわ」
「……そうだな、準備してくるから待ってて」

 しばらくロザリア断ちをしていたようなものだったから、ガツガツしすぎた。頭を冷やすためにも、自分を清めるためにも、風呂の準備をしながら汗を流す。
 バスローブを羽織り、ロザリアと入れ替わりで浴室から出てきてベッドに腰を下ろした。

 落ち着け、もう結婚して二年目だ。蜜月だって人より長めに三カ月も取っただろう。
 そんな風に自分を落ち着かせていると、ノックの音が響いた。ガチャンと解錠されたような音が鳴り、ガチャガチャとノブが回されている。結界を張っておいて正解だった。

 この魔力は皇太子と皇女だ。ロザリアはまだ風呂から上がらない。
 俺は事前に撃退するべく扉に向かった。

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