捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 パチンと指を鳴らすと同時に結界が解除される。

「おおっ! やっと開いたぞ!」
「もう、いったいなんなのよ!?」
「……なにか用か?」

 俺がいると思っていなかったのか、皇太子と皇女は驚きこれでもかと両目を見開いている。

「なっ! なぜ貴様がここにいる!?」
「あああ、アレス殿下!? ちょっと待ってくださいませ! その格好は……!!」

 今の俺は髪が湿っていて、バスローブを羽織っている。そこでいい撃退法を思いついた。

「なぜ? 夫婦がこの時間にすることなど決まっているだろう」

 俺の言葉に、皇太子は怒りで、皇女は悔しさで、みるみる顔を赤く染めていく。正確には一日の汗を流しているだけなのに、ふたりの反応が面白かった。意外とからかい甲斐があるようだ。

「お前! 専属執事の分際で! 身の程を知れ!!」
「そ、そうよ! アレス殿下がそんないかがわしいことをするなんて!!」
「ロザリアの夫は俺だ。専属執事だが王太子でもあるし、妻との間に後継者を作るのは王族の義務だろう?」

< 86 / 200 >

この作品をシェア

pagetop