捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 確か三つ目の素材は獣人の国で採掘されていると言っていた。それなら帝国にとって、これから皇帝となる私にとって邪魔になる奴らもまとめて駆除できる。

 妙案が浮かびセラフィーナに視線を向けると、醜くかを歪めて怒り狂っていた。これではアレスに嫁げといっても、もう無理だろう。

「お兄様! わたくしが娼婦呼ばわりされるなんて、こんな屈辱は初めてよ!! そもそもわたくしの魅力に靡かない男なんて、男じゃないわ!!」
「セラフィーナ、気持ちはわかった。お前は帝都に戻れ。そして父上にこの経緯を説明して、秘密裏に精鋭を派遣するように伝えろ。私がアレスを始末し、お前は別の竜人へ嫁げばいいのだ」

 私の計画がうまくいけば獣人の国も潰し、ラクテウスはセラフィーナを通じて操作し、大陸一の大帝国へと導くことができる。

 そうすれば私は父さえなしえなかった、大帝国の初代皇帝となるのだ。
 そのためにも、セラフィーナはラクテウスに嫁がせなければならない。

「別の竜人なんて……どんな相手かもわからないのに嫌よ」
「ふん、竜王がいるではないか」
「竜王ね……でもすでに王妃がいるのにどうやって?」

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