転生公爵令嬢のイチオシ!
前世思い出しました

「いらっしゃいませ!当店イチオシの新商品はいかがでしょうか!」

……ん?

「あー、仕事してる夢見た。で?これから仕事?寝た気がしないやつ!しかも接客中だった?家にいるのに新商品おすすめしてたわ。新商品はもちろん美味しいけどね!ってどんな寝言だよ!」

ぶつぶつ言いながらムクリと起き上がる。
お店の商品は好きだけど睡眠は別!
寝れる時は寝ていたい。
睡眠は大事大事!

ふと、違和感があった。

……まだ寝てる?今度は何の夢見てんの?
豪華なホテルのような所にいる?

私は大きくてフカフカなベッドにいるらしい。
周りを見回すと、とても広い部屋に豪華な調度品の数々。

「こんな所泊まったことないわ。お嬢様かって!ハハハ」

まだ夢見てんだな。
そんな豪華な物とは無縁の私。

「よし!では起きる時間までもう少し寝よう」

ベッドに横になって布団を被る。

『……イチオシ社朝礼始めます! 社訓その1』

(っ!! 朝礼だと!?)

ガバリ!と起きあがる。

『お客様への誠実さ、そして常に笑顔と…』
「お客様への誠実さ、そして常に笑顔と…!?」

社訓被った!
朝礼なんて言うから社訓その1言っちゃったじゃない。

「え!?誰かいるの?」

「失礼いたします」

シャッ!とカーテンが開く。

長いふわふわの金髪でクリッとした赤い瞳の可愛らしい女の子が言った。

「…メリアーナ様、体調はいかがでしょうか?」

「メリア……?」

なんじゃそりゃ?と思ったら手鏡を渡された。

「えーっ!!何この子!!めっちゃ美少女ーーー!!!!」

長いサラサラの薄紫の綺麗な髪、パッチリした大きな碧い瞳、長い睫毛、形の良い鼻に唇、日焼けしてないシミもない白い肌。
お人形みたいな人が鏡に映っている。

「!!?」

ペタペタと頬っぺたを触ったり、髪の毛を摘まんだり、横を向いたりしても私が動いているように見える。
鏡を持つ手指も綺麗だわ。

「!?!?!?」

「メリアーナ様は学園の階段から落ちてこちらに運ばれたのです。覚えていませんか?」

「階段?」

どこの階段から落ちたって?

「え、私は前田……」

前田芽衣なのだが。

「…フフッ。まさかあなたまで転生してこんなに近くにいたなんてね!」

「てんせい?」

「転生前の記憶が強すぎて頭の中が混乱してるんでしょ?あなたは前田芽衣ではあるけど、今のこの姿のあなたはメリアーナ・クリスク公爵令嬢よ」

「めりあー??…くり……?れいじょう?」

ん?

「…って何?」

意味が分からなくて聞き返した。
もしかしてまだ夢の中?

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