転生公爵令嬢のイチオシ!
レイ様と歩きながら学園祭の話をする。

設営の方はプロの業者の方々に図面を見てもらい工事が始まった。
安全面を考えるとしっかりした土台だと安心だけど、予算の規模がすごいわ!

「そうなんだね。怪我はしていない?」

レイ様が心配してくれている。

前世では大きな荷物を抱えたり、走ったり、転んだりもしてましたよ。
今はお嬢様ですけどね。
なんて心の中で思いながらレイ様を見て微笑む。

「はい。大丈夫です」

心配してくれているのが少し嬉しい。

学園祭の準備があるのでレイ様との放課後のお喋りは時間が短くなってしまった。
お互いに時間が合う時に、またはレイ様が私の教室に来てくれて廊下で少し話をしたりという感じだ。
でもライル殿下のこともあるので、心配だからと時間を作ってくれている。

お礼を伝えると『私がメリアーナに会いたいんだ』なんて言われて…。
また思い出しては特大イッチくんぬいぐるみに抱きついてジタバタしている。

お兄様も忙しくて帰りの時間が合わないので別々に帰っている。
レイ様が馬車まで送れない日は、お兄様付きのアルトさんに教室や講堂に迎えに来てもらうことになった。
さすがお嬢様ねー。

「今日は私が馬車まで送るね」

「レイ様。ありがとうございます」

もう少し一緒にいたくて馬車までゆっくり歩く。
そんな私の速度にレイ様も合わせてくれる。
嬉しいな。

「レイ様のクラスはどうですか?」

「練習は順調だよ。久々に演奏するから緊張するね」

でも頑張るねなんて笑うレイ様。
もう!可愛い!

「座席は予約席を取っておくからね」

「わぁ!ありがとうございます!楽しみです!」

そのあとはクイズの問題を考えるのが難しいとか、クラスのみんなと一緒に作業をしていたら少しずつ話ができるようになってきたことを話した。
その度に、優しい瞳で頷いてくれたり、微笑んでくれたり。
そんなレイ様ともっと一緒にいたいと思ってしまった。

「もう着いちゃったね」

「はい。…ありがとうございました」

名残惜しそうにしながら馬車に乗ろうとしたら手を握られた。

「メリアーナ、また明日」

優しく手の甲にキスをされた。

「ッ!!」

扉が閉まる。
真っ赤になって手を握りしめている私を見つめているレイ様。
その真剣な表情に胸が甘く痛む。

馬車はゆっくりと走り出した。
私は握りしめた手を胸に、ドキドキしながら窓の外を流れる景色を見ていた。



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