転生公爵令嬢のイチオシ!
しばらく馬車は走り続けた。
どのくらい走っただろうか。
よく分からないが2~3時間は経過しているような感覚だ。

「気をつけろよ!怪我させたら報酬が貰えないんだからな!」

「分かってるよ!」

「お嬢ちゃんもかわいそうになぁ。あんな坊っちゃんに気に入られちまって」

複数の男達の低めの声が聞こえる。
坊っちゃん?

止まったと思ったら扉が開いた音がして、また体が浮いて運ばれる。

「この部屋に連れて来いとの指示だったな」

ゴトッ!

どこかに置かれたようだ。
こ、怖い!!

「俺達はここまでだ。行くぞ!」

バタバタと去っていく足音がした。


「……」

静かになった。

このあとはどうなるの?
視界は暗いまま、手足も縛られて身動きが取れない。
声を押し殺して泣くしかできないなんて!

ガチャリ…。

扉が開いたような音がした!

コツコツコツ……。

だ、誰かがこっちに向かっている足音がする!
レイ様!!お兄様!!助けて!!

ガタガタガタッ!

箱の蓋が開いた音がして、私に巻きつけていた黒い布がバッと外された!

「ーーーッ!!!」

怖いッ!!
目をきつく閉じて体を丸める!

「ああ!私のメリアーナ!怖い思いをさせてごめんね」

え!? 名前を呼ばれた!誰!?
ソロリと目を開ける…。

「ッ!!!」

驚きで目を見開いた。
そこには元婚約者のジャガー・ダンテがいた…。


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