婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
 幻影の森へ向けて出発したが、道中では道が悪く馬車では時間がかかるらしい。しかもオリバー様を見かけた領民たちが声をかけてきて、場合によってはその場でなにかを手配しながら進むので目的地に着くまで時間がかかって仕方ない。

 馬車に乗るわたしのことも話題にあがっていたようだったけれど、今回の試験には関係ないので領民との会話は聞こえないふりをしてやり過ごす。

 わたしは一刻も早く王都へ戻りたくて、全力で魔物の討伐を終わらせた。



 コートデール領での認定試験を終えたのは、それから十日後のことだ。

 後から後から湧いてくる魔物を倒すのは面倒だったけど、広範囲の火炎魔法で焼き尽くして終わらせた。それを見たオリバー様の驚いた顔に、この試験も合格間違いなしだと確信を持つ。

 コートデール公爵へ挨拶を済ませ、国王陛下から渡された魔道具を使って一瞬で王都へと舞い戻った。

 わたしの認定試験の結果は国議で発表されることになっている。国王陛下の計画では、そのままフィルレス様を廃嫡しアルテミオ様を立太子し、わたしとの婚約を発表することになっている。

「ふふふ……もうすぐわたしの時代がやってくるわ。もうすぐよ……!」

 万全の準備を整え、国議までの一週間を心穏やかに過ごした。


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