婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
 自分のために怒ったことなんてなかった。
 だけどフィル様がすごく私を大切にしてくれて、私も自分を大切にしていいのだと思えた。

 私は絶対に手離したくないものを守りたい。
 これからもフィル様と私を守るために、大切な人たちを守るために。

 そのためにも、決して許してはいけないことがある。

「……許せません。私は心から愛する婚約者と……フィル様と引き離そうとした人たちを許せません! 誰がなんと言おうとも、私の居場所はフィル様の隣だけです! 絶対にその場所を譲りません!!」

 心からの叫びだった。
 いつもあきらめてきた私の、心の奥底にある剥き出し想いを叫んだ。

「うん、わかった。これでラティを害する奴らを遠慮なく処罰できるよ」

 フィル様はまるで太陽の創世神のような温かい笑みを浮かべた。私と絡んでいた視線を外し、フィル様は冷酷な為政者の顔で言葉を続ける。

「この場で提案するのは、現国王の退位および王太子フィルレス・ディア・ヒューレットの国王即位。また国王即位に伴い婚約者であるラティシア・カールセンとの婚姻も同時に進める。異議があるものはこの場で挙手せよ」

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