婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
「ジャンヌならもしオレが道を誤りそうになっても、しっかりと修正してくれるだろう。それに心から愛する女性と一緒にいられるのが、こんなにも幸せなことだと知らなかった。あの時は本当に申し訳ないことをした」

 あの時とは、以前グラントリー様が無理やり私を婚約者にしようとした時のことだ。フィル様にコテンパンにされていたし、私としてはわかってもらえたら問題ない。

「いいえ、もう済んだことです。これからはジャンヌ様と幸せになってください」
「……この恩は忘れない。これからもラティシアの友人として力になると約束する」
「ありがとうございます」

 毒を克服するのは無理そうだから、貴重な秘薬や解毒薬をいつも持ち歩くことにした。フェンリルも守ってくれているし、薬をお守り代わりにするしかないみたいだ。

 私は気持ちを切り替え、心強い友人たちに囲まれた楽しいお茶の時間を過ごした。


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