オムライスは甘口で

 こういう時に限って最悪な出来事は続くものだ。

「だーかーら!!俺の指示と違うって言ってんだろ!?」

 課長の怒声が寝不足の頭にガンガン響く。この間の不具合の件に続き、今日は仕様書の変更についてイチャモンをつけられた。変更点については何度も確認したし、言質もとったつもりだ。
 いつもなら黙って受け流すけれど、この日の美雨は虫の居どころが悪かった。
 バンっと課長のデスクに両手を叩きつける。

「私は指示通りやりました!!課長が覚えてらっしゃらないだけでしょう!?なんでもかんでもすぐ忘れてしまうなら病院の受診をおすすめします!!」

 ふんっと鼻息荒く言い返すと、課長は椅子からひっくり返りそうになるほど動揺していた。

 美雨は自分のデスクに戻ると、仕事を再開し始めた。
 課長に文句を言ったらちょっとだけスッキリした。

(こんなところでストレスを発散させてどうする……)

 いくらストレスを発散しようと真紘にはもう会うことができないというのに。
 未だに気持ちの整理ができていない美雨を置き去りにするように、今週も金曜日がやってくる。
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