君が導き出してくれた私の世界
「……小春?」
不気味なくらい辺りが暗くなった頃だった。
突如、聞こえてきた声に驚いて振り向くと……。
「やっぱり、小春じゃん」
公園の入口のところに楓くんがいた。
どうして?
なんで?
楓くんがここにいるの?
「さっき、バイト終わって小春に連絡したんだけど返事ないから気になってた」
慌ててポケットからスマホを取り出し、電源をいれると、楓くんからのメッセージが届いていた。
それと同時に、お父さんからの着信がいくつかあったのが見えて、思わず俯いてしまう。
「小春、どうした? なんだか元気ないじゃん」
楓くんは私に近づくなり、隣のブランコに腰掛けた。
「なんか嫌なことでもあった?」
楓くんの問いにゆっくりと頷いた。
そして、トーク画面を開いて文字を打つなり楓くんに送信した。
【家に帰りたくない】
「どうして?」
【お母さんから話せないこと責められた。先生からも】
それから、今日あった出来事を細かく楓くんに伝えた。
先生とお母さんから言われたいくつもの言葉に傷ついたこと。
なにより、お母さんに分かってもらえなかったことが1番悔しかった。
「そっか……辛かったな」
楓くんは私からのメッセージを読むなり心を痛めていた。