愛という名の逆襲 ～Les Liaisons dangereuses～

突然のハートブレイク

「ごめん。好きな子が出来たんだ」

恋人の小鳥遊から、唐突にそう告げられた。

「何それ…二股かけてたの？」

「いや、まだ告白すらしてないよ。ちゃんとけじめつけてからじゃないと、先に進むつもりはないから」

誠実な言葉のようだが、それはあくまで相手の女への誠実さでしかなく、私のことは、単なる“けじめ”に過ぎない。

小鳥遊は、かなり人目を引く容姿の持ち主だ。

好みのタイプだったので、そんな彼に告白された時は、嬉しかったし、日ごと夢中になっていった。

「そう…どんな子を好きになったの？」

冷静な振りで尋ねると、相手はよりによって、淑子という地味で目立たない女だった。

私は、こういう女が大嫌いだ。

嫌いなんてものではなく、恐怖すら感じる…。