ダイエット中だけど甘い恋を食べてもいいですか?
店内には大きなガラスケースがあり、その中に何種類ものケーキやプリンなどのスイーツが並べられていた。

その色も緑や黄色、ピンクとカラフルで、形もとても可愛い。

「わあ・・・。」

私は思わずそれらのスイーツに目が釘付けになってしまった。

「おお。澤乃井。久しぶりだな。昨年の正月以来か?」

店の奥から白いコックの制服を着た、黒縁眼鏡の大柄な男性が顔を出した。

「おう。三好。嫁さん元気か?」

「元気元気。腹に3人目がいるっていうのに、ちっともじっとしてねえんだ。今日もどこかで新鮮な野菜を探しに行ってるよ。」

「ははは。相変わらずだな。」

「ところでこちらのお嬢さんは?」

響さんに三好と呼ばれた男性が、私を興味深げに眺めた。

「ああ。久保田芽衣ちゃん。俺の彼女。」

そうきっぱりと言う澤乃井さんの言葉に、私はやっぱり少しうろたえてしまった。

「ええ?!澤乃井、こんなに若くて可愛い子とどこで知り合ったんだよ。」

「フィットネスクラブ。」

「都会はええな~。そういう出会いがあるんか。えーと芽衣さんだっけ?こんなオヤジのどこが良かったの?」

響さんは挙動不審な私を見てにやにやと笑っている。

「ええと・・・格好良くて、優しくて、好き嫌いがなくて、たまに可愛くて・・・」

「芽衣。もうその辺でいいから・・・。」

響さんが照れたような困ったような顔で苦笑している。

「え?あっ・・・はい。」

そう言った矢先から、私の顔が赤く染まった。

「へえ!お前、恰好良いんか?随分猫かぶっとるの~。」

三好さんがそう言って響さんの肩を小突いた。

「うるせえな。お前は黙ってケーキ作ってろ。」

「ハイハイ。じゃあ、ゆっくりしてってね!」

三好さんはそう言い残すと、再び厨房へ帰って行った。

「芽衣、その調子。文香さんとやらの前でもそのカンジでな。」

響さんが平気な顔でそう言うので、私はちょっと悔しくなった。



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