結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …

 会ってはいけない実の娘に出会ってしまい、成長した娘が自分と似ている事に忘れかけていた愛しさが込みあがって来た愛香里は我がままだと分かっていても柚香に会わせてほしいと挿花に頼み込んだ。
 挿花は仕事に復帰して忙し日々で、柚香に構ってあげられる時間が少ないことに罪悪感を感じていた事から聖とは絶対に鉢合わせさせないと言う約束で許可をした。
 だが、挿花も決して聖の事を忘れたわけじゃなかった。
 愛香里が愛しさが込みあがるように、挿花も愛しさが込みあがっていた事から、柚香が愛香里と会っている時間にこっそり聖を見に行っていた。

 成長した聖は挿花によく似ていて、優しく凛とした顔立ちで誰もが振り向くイケメンへと成長していた。
 そんな姿を見て陰ながら挿花は喜びを感じていた。 
 小学生になった聖がバスケを始めたことを知って、団体へ支援をはじめ応援していた。

 だが…。
 愛香里が殺害され、凛太朗と挿花は柚香を連れてアメリカへ旅立ち、暫く音信不通になってしまった。


 日本に戻って来たのは聖が中学になった頃。

 中学生になった聖を見て、賢太郎の面影もある姿に感動した挿花は、こっそり聖龍に連絡をして聖の学費を出させてほしいとお願いしてきた。

 とくにお金に困っているわけではない宗田家だったが、子を想う親の心は聖龍にも痛いほどわかる事から。
 聖の学費を挿花が出すなら、柚香の学費は聖龍が出すと言う条件で成立した。
 
 偶然にも柚香がアメリカで妹の香に出会っている事を知った聖龍は、離れていても姉妹の絆で引き合ったのだと思っていた。

 時折、香から柚香の話を聞く度に成長している本当の我が子の姿を遠くで見て満足していた聖龍。

 香から送られてくる成長した柚香の姿は、昔の愛香里にそっくりで、愛香里が生き返ったような気持にさせてくれていた。


 だが、柚香が両親を追いかけて日本へ帰国してからパッタリと情報が入らなくなった。

 どうしたものかと心配した聖龍が調べて見ると、柚香の両親・賢太郎と挿花が亡くなたことを知った。
 飲み物に毒薬を入れられ殺害された事を知り、柚香の行くへを追っていたが一向に見つからないままだった。


 探し続けてようやく柚香に再会したのは。
 柚香が宗田ホールディングに入社して来た時だった。

 昔を再現するかのように現れた柚香。


 聖龍が愛香里と初めて出会たのも、宗田ホールディング。
 姉のふりをして入社してきた愛香里と出会った時を再現するかのように、大きな眼鏡をかけて見かけは行けてない感じを出している柚香に、聖龍は昔の愛香里を重ねて見ていた。

 聖が柚香に近づいている事を知り、もしかして何か企んでいるのではないかと直感的に感じたが。
 2人が近づくのも運命だと思い、見守る事にしたのだ…。
< 35 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop