結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …

「…ごめんなさい…」
 小さく謝った柚香。
「もういいよ、今こうして柚香がここにいてくれるから」
「…はい…」
「離婚はなしでいいよな? 」
「はい…」

 そっと体を離した聖。
 
 膨らんでいる柚香のお腹にそっと触れると、そこからは暖かいエネルギーを感じた。

「心配しなくていいよ、俺は一度出産に立ち会っているから。この子が生まれてくるときは、傍にいるから安心しろ」
「はい…」

 小さく返事をした柚香の唇に、聖はそっとキスをした。

 唇から伝わるエネルギーがとても心地よくて、柚香の気持ちもスーッと溶けていった。


 
 
 その後。
 聖と柚香は離婚を取りやめた。
 聖一郎は「これでいいじゃないか。2人とも愛し合っているんだから、素直になればいいだろう」と、言ってくれた。

 聖は、自分の出生の秘密を全て知っていると聖一郎に話した。
 聖一郎は全てを知っていたが、両親があまり口にしたがらないことから黙ってみているしかできなかったと。
 柚香が思い込んで聖が両親を殺したと思い込んでしまっていることも知っていたが、本当はそうではなく金田理子が殺したことは分かっているのもあり、とりあえず気が済むようにさせようと見守っていた。
 聖と柚香が結婚した時も、これも運命なんだろうと思っていた。

 すべてを冷静に見ていた聖一郎。
 柚香が聖から酷い仕打ちをされていた時も、すぐにでも助けち気持ちがあったが柚香が口を出さないでと言ってきた事から見守るしかできなかった。

 お互いの誤解が解けた今、もう何も遮るものはないだろうとこれからも2人を見守ることに決めた。


 金田理子は逮捕されても、聖龍と結婚の約束をしてずっと大人になるの待ってもらっていたと言い続けていた。
 しかし、愛香里を殺害したことで一度逮捕されていることからそれはあり得ないと確信されている。
 愛香里は理子に嫌がらせをしていたとか、聖龍が本当に愛しているのは愛香里ではなく自分だと話し続けている。

 交際してきた男性が行くへ不明になっていて、最後に会ったのが理子であることが明白になっている件に関しては「知らない」と言いつつも「あの人は港の誰も来ない倉庫に行って帰ってこない」とか言いだし、警察が捜査すると白骨化した遺体が発見された。
 他にも山に行って帰ってこないと言った男性は、山奥の小屋ですでに白骨化した遺体で発見された。
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