ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~

 そこにつけ込まれたら終わりだと決して口外しないようにはしているが、はたしていつまで隠し通せるやら。

「その状態になったのは何年前になる?」

「二年ほど前です」

 わずかな間を置いて、グウェナエルは「そうか」と深く息を吐き出した。

「頼んだわけではないにせよ、結果的におまえにすべてを背負わせてしまったことに関しては、これでも悪いと思っているんだ。魔力を大幅に喪失しているいま、大した役には立てんだろうが……ま、なにか俺にできそうなことがあれば相談しろ」

「いえ、ただただ王に戻ってほしいのですが」

「それ以外だ、馬鹿め。俺はなにを言われてももう王の座には戻らん」

 パシッと背中を叩かれ、グウェナエルは室内へ戻っていく。その様子を限りなく不明瞭な視界のなかで見届けながら、エヴラールは「陛下」と声をかけた。

「ひとつ……困っていることがあります。お力を貸していただけますか」

 さっそくだな、と振り返ったグウェナエルは苦笑した。

 あわよくば、魔界に関わるうちに王の座に戻りたいと思ってくれたら──そんなエヴラールの淡い期待すらも見越しているのだろう。だが、それでもいい。

(……やはり私は、あなたに〝王〟であってほしいのですよ。陛下)

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