ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~

 罪を背負う身。

 はたしてその祝福がよいことなのか悪いことなのか、ルイーズはいまだ判断しきれていないのだけれど。

「姫さま、本当にやるのですか」

「うん。やる」

「ですが……見てください、この剣を。なんとまあ、無残な姿になり果てて……」

 ディオンの前には、根元を断ち切られ横倒しになったザーベスがあった。

 彼が途方に暮れたような面持ちで手に握っているのは、悲しくも柄だけになってしまった剣だ。ついさきほどまであった刀身は、もはや見る影もない。

「ごめんね、ディー。毒で剣が溶けちゃうなんて思ってなかったの」

 ──ザーベスの根元を斬ってほしい。

 そんなルイーズのお願いに、ディオンが二つ返事で応えてくれたまではよかった。

 が、まさか斬った瞬間に刃が溶けだすだなんて、いったい誰が予想するだろう。

「……剣はいいのです、いくらでも代わりはありますから。ですが、姫さまに代わりはいません。もしなにかあったらどうするのです」

「だいじょぶだよ。聖光力は、毒もきれいにできるはずだもん」

「それは存じておりますが……っ」

 聖光力の扱い方は、幼い頃から〝大聖女〟であった母に教えこまれている。

 穢れに連なるものを浄化できる力。その基準はわからないが、少なくとも人間が毒物を摂取してしまった際には、聖光力が効果を発すると聞いた。

(実際、ルゥたちの身体のなかに入った毒素は、きれいにできてるし)

 これだけ毒花がはびこっていれば、多少なりとも空気中に毒素が滲みだすものだ。

 ゆえにルイーズは、定期的に自分とディオンへ聖光力を施していた。
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