大嫌いなキミに愛をささやく日
「……」



机に伏せていた顔を上げて、周りを見る。

本当だ、誰もいない。



「嫌な夢を見てた……」

「じゃあ俺は出てないな」

「(思いっきり出てたよ)」



中学校に入学して二か月が経ち、今は六月。

梅雨の季節。



「今日も雨か。傘わすれたんだよな。最悪」



私の前の席の煌人は、椅子に座って、窓の外をボーっと眺めていた。

……あれ?



「煌人、どうして帰らなかったの?」

「……」

「その目は何」



いつも煌人が一緒にいる友達がいない。

傘がないなら、入れて帰ってもらえばよかったのに。



「友達と相合傘がそんなに嫌だった?」
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