1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい
「今、何か食べれるものを持ってくるよ。タラニスも君も、疲れているだろう。しっかり休みなさい」
そう言って私の命の恩人は部屋を出て行った。
あ、名前を聞いてなかったな。タラニスが知っているだろうか。
「タラニス、あの人の名前……知ってる?」
「ああ、ここに来た時に教えてくれた。あの人の名はロイ・アルベスさんだよ。アルベスさんって呼んだらいいよ」
タラニスは優しく笑った。優しく笑った君の瞳は綺麗で、温もりがあった。
「うん、そうする」
しばらくするとアルベスさんがご飯を持ってやって来た。湯気がホカホカと立っていて、美味しそうなご飯が目の前にある。ただそれだけなのに涙が零れそうになった。
こんなに親切な人に、私は出会ったことがなかった。私たちを見捨てないでいてくれる大人がいることを知って、こんなにも嬉しくなるなんてこんな気持ち、初めてだ。
「何を黙ってる、早く食べな」
「ありがとうございます、…」
「ありが、とう…ございます」
私は、そのあまりの優しさに言葉を詰まらせながら御礼の言葉を口にした。タラニスと一緒に2人同時に発したありがとう、という感謝の言葉に泣きたくなるほどの嬉しさが詰まっていることにアルベスさんは気づいているのだろうか。
「ああ、しっかり食べて元気付けな」
彼が少しほっとしたように笑みを浮かべていたことを、私たちはこれからも知ることは出来ないのだろう。初めて食べた温かいご飯。温かいものを食べると心まで温かくなるなんて知らなかった。
「君たち、親はいるのかい?」
一瞬、何を聞かれたのか分からなかった。でもすぐにそれを理解した。
「俺たちに親は、……いません」
タラニスが少し俯きながら答えた。私たちには親はいない。