1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい


***


「これから戦乱にあたっての訓練を開始する!!」


 アレッサンドロに連れられて来た訓練場には訓練を開始している何千人もの騎士がいた。騎馬戦に剣術、弓矢などの様々な訓練をしている。


「今見ても分かる通り、様々な戦いにおいて必要な訓練をしている。そして君には今から、現聖騎士長に会ってもらう」


 俺はそれを聞き、自然と背筋が伸びた。聖騎士長に会うということは、俺がこの騎士団に相応しいのかどうかを見定められるということなのだろう。


「もし、認められなかったら……。俺はどうすれば…?」


 恐る恐るアレッサンドロに尋ねた。


「お前ならきっと大丈夫だ。安心しろ」


 もしもの時だって俺が付いている、とアレッサンドロは面白気味な様子で付け足した。


「そうですね。そう思っておきます」


 俺はアレッサンドロの少し斜め後ろを行きながら、聖騎士長はどんな人なのだろうと思った。俺の父のような人なのだろうか。何かを率いることはきっと誰もが出来ることじゃない。能力や力の強いものがそういうものになっていく。


「ローランド様はあなたにとって、どんな父親でしたか?」

「俺にとって父は、とてもかっこよくて立派な人でした」


 父はいつも、人のために何かをすることが好きだった。困っている人や苦しんでいる人がいると見過ごすことなく、いつも他人に手を差し伸べる。

 そんな父を、俺は今でも心から尊敬している。


「そうか……。俺はもう少し、聖騎士長と話をしておけばよかったという後悔が残っているんだ」


 アレッサンドロは声を絞り出すように、悔やんでいた。


「実は俺も、父とはあまり話したことがありまそんでした。もっと家族らしく父と過ごすことが出来ていたらなと悔やんでいます」


 亡くなった人はもうここに戻ってくることはない。でも、父は今もこれからも、俺やアレッサンドロの心の魂として生き続ける。

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