1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい


 見ていてくれ、父さん。俺、父さんのような立派な人間に、そして立派な騎士になれるように頑張るよ。例えそれが辛く苦しい道のりであったとしても。


「タラニス、ここだ。聖騎士長に会う心の準備は出来ているか?」


 アレッサンドロが重い扉に手をかけながら、俺を振り返った。


「はい」


 もう、怖さはなかった。俺は1歩、前に踏み出した。


***


 それからは毎日毎日努力し続けた。1日に何百回も剣を振り、弓で矢を射る練習も日が暮れてしまう時までやっていた。

 毎日が苦しかった。マリアに会いたいと嘆いてばかりで頑張れない1日だってあった。でもそんな時は、騎士団の仲間たちが支えてくれた。まだ13歳の俺にも、対等に接してくれる。そんな彼らをいつの間にか好きになっていた。

 今日も俺は、訓練場へ向かう。

 俺がここに来て、もう1年が過ぎようとしていた。その間も戦争はあった。だが俺はまだ参戦出来ずに、ただただ訓練をするしかなかった。

 戦争に行けるのは15歳になってから。そうアルベスと約束していた。最初の頃に比べては、体力も戦力も気力も沢山身に付けることが出来た。

 でも、これじゃあ強いとは言えない。父のようだとは言えない。


「タラニス、そろそろだ」


 アレッサンドロが現れ、俺の隣に整列する。今から、聖騎士長が俺たちの訓練を見に来られる。1ヶ月に2、3回くらいの聖騎士長の顔が見られる貴重な日でもある。

 訓練場入り口にあるとても大きくて重い扉がゆっくりとギギギ…と開く音がしたことで、その場にいた騎士たちに緊張感が走った。


「みんな、久しぶりだな。お前たちの頑張りはいくつもの戦争での活躍で十分に分かった。よくやってくれた。これからも訓練に励みなさい」


 よく通る声で聖騎士長は俺たちに語りかけた。俺もいつかその言葉を貰えるような、騎士になる。マリアのために決めたんだ。…いや、違う。これは、俺のための戦いだ。俺のための、俺の夢だ。

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