1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい
「アルベスさんは…、病気なの」
聞きたくなかった事実。このことをアレッサンドロは知っているのだろうか。その病気はちゃんと治るのだろうか。アルベスは医者だから自分の体の状態のことはよく分かっているのだろう。
「アルベスさん……、その病気は治るのですか?」
恐る恐るアルベスに尋ねた。
「治らない。この病気はもう、治らない」
その言葉に、アルベスの弱さが初めて見えた気がした。
「それよりもタラニス、……お前も何か伝えることがあって来たのだろう」
アルベスはいつも、自分よりも他人を優先する。
「それは……」
「あるのだろう……?私のことはいいから、話してみなさい」
アルベスの優しい気遣いに泣きそうになる。俺ってこんなに涙脆かったっけと思うほど、この家に帰ってきてすぐに泣きそうになる。
「俺は今日、2人に1番に伝えたいと思いこの家に帰ってきました」
俺の真剣な声と瞳に、アルベスもマリアも、緊張気味に話を聞いてくれた。
「まず、2年間もの間一度も顔を見せていなくて悪かった。自分のことだけで精一杯になっていたんだ……」
2人は同時にそんな謝ることではない、と首を横に振った。
「俺はこの2年間、ずっと訓練場にいた。毎日戦闘の訓練をした」
「そして、英雄となった」
マリアが息を呑むのが分かった。
「そして竜の討伐を3日前、聖騎士長から使命された」
アルベスの背中が震えたのが分かった。マリアはさっきよりももっと驚いていた。
「本当に……?」
マリアが恐る恐る尋ねた。俺は頷く。もう答えは決まっていた。
「俺は聖騎士長の期待に必ずや応えると決心した。だから俺は、竜の討伐に行く」