1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい
でもそこに、マリアの姿は見えなかった。ここまで来た時の道も元からそこに存在していなかったもののように、綺麗に消し去られていた。
空は見えないままだった。森から出る道も分からない。疲れ果てて回らなくなった頭ではもう帰る方法すら考えられなかった。
空は見えなくても、だんだんと夜になっていくのは分かった。でも不思議なことにこの森は明るい光に包み込まれているようだった。
辺り一面に花が咲く。その花たちは近くにあるものから遠くにあるものまで全てが光り輝いていた。
森の奥から蛍の光が綺麗に色づいた。
「綺麗だ……」
世界から取り零れたような綺麗な場所だった。そこに、さっきまではなかった1本の道が現れた。俺はその道を歩いていく。地を踏むたびに、波紋のような水面が足元に浮かび上がってくる。俺の行く道は明るく照らされていた。
辿り着いた場所は周りが森に囲まれた湧き上がる泉だった。その泉はとても綺麗で美しかった。なぜこの森は俺をここまで連れてきたのだろうか。なぜこんな場所がこの世界に存在しているのだろうか。これも神の悪戯なのだろうか。
俺は泉に1歩1歩近づいた。その泉は透明で、きらきらと煌めく命の泉のようだった。
どうしようもなく喉が渇いていた。でも、あんなことになるなんて思っていなかったんだ───。その時感じたのは、その泉の水が異様に美味しすぎたことだけたった。
両手に泉の水を汲み取り、それを口に流し込んだ。その瞬間────、
『この泉に触れた者、この泉の水を飲んだ者。英雄であろうとなんであろうと、天罰が下る』
どこからかそんな声が聞こえてきた。そして俺の目の前に、鋭い光を放ちながら綺麗な女神のような女性が現れた。
その女性は俺の目を見据えた。何が起こっているのか分からないまま、俺はただそこに立ち尽くしていた。