1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい


『その泉、神の飲む水である。汚らわしい人間が飲んでいいものなど一滴たりともない。その泉は傷を癒やし、力を与える。それをお前は知ってしまった。私たち神々の神秘を』


 背中が、全身が、激しく震えた。神々の神秘を、知る。それは容易なことではない。でも難しいことでもないのだ。

 俺の竜と戦って傷ついていた体は驚くほどに、綺麗に治っていた。


『お前には天罰が下るであろう。それは何百年も先の未来でもお前を苦しめる。それほどのことを、お前はした』

『100万回、お前は生きるのだ。それに耐えられるのならお前にも明るい未来が訪れるだろう』


 体から力が抜けていく感覚がした。そして、立っていられなくなった。俺の意識はそこで、終わった。


***


 神は俺に、『永遠の命』を与えた。

 死んで生まれてを繰り返す残酷な命を俺に与えた。

 俺は100万回、生まれて死んでを繰り返した。

 もう、心は枯れていた。そして、壊れていた。

 あの日、羽琉を見た時、実はとても驚いた。

 100万回目の人生は何か違う予感がしていた。

 そして思っていた通り、それは実現した。

 春野蒼佑の顔はあの頃のタラニスの顔であり、水無瀬羽琉の顔はあの頃のマリアであったのだ。

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