1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい
『どうして、……。タラニスが死ぬはずないじゃない!!ねぇ、そうでしょ!?』
マリアの絶望に満ちた悲痛な声が大きな森に木霊する。それでも神は、残酷に、慈悲なく、こう告げた。
『タラニスは、死んだ。もう2度と、お前はタラニスとは会えない』
嘘だって信じたかった。だからマリアは、必死になって神に問うた。
『ねぇっ、あなたは神様なんでしょ!?それならタラニスを、生き返らせてよ……っ!!私、何でもするから、タラニスが生き返るのなら、何だってできるから…っ!!』
『それならお前はこれから100万年間、タラニスと生きた記憶を失ったままその者の側で生き続けることを誓うか?』
『誓うっ!!どんなことでも、誓うから…っ』
神はマリアのその返事に、満足そうに微笑んだ。これは、神がタラニスに与えた少しの褒美だったのだ。
これから100万回という輪廻を繰り返さなければならないタラニスの隣には、いつもマリアという愛する人の存在があるということ───。
***
「蒼佑…、私、全部思い出したよ。タラニスと生きた記憶、全部、思い出せた……っ」
羽琉は震える声で、でも歓喜に満ち溢れた声で、そう言った。蒼佑の瞳が大きく見開かれる。
「私はずっと、タラニスのことを忘れたまま、100万回姿を変えて、蒼佑の隣にいた……」
「羽琉……っ。そう、だったの…?」
蒼佑は流れそうになる涙をこらえて、そう尋ねた。信じられなかったんだ。そんな奇跡が、本当にあってもいいのかと思ったんだ。
羽琉が自分を思い出してくれたこと。そして、羽琉がずっと、自分の隣にいてくれたという真実。
もうそれだけで蒼佑は、100万回生きてよかったと本気で思えた。