愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
ペロリと舌先を覗かせた朝陽が、成美の胸に顔を埋めた。

恥ずかしくておかしくなりそうだが、今度は逃げたいと思わなかった。

バストサイズが控えめでも欲情してくれて、女としての自信がゆっくりと胸に広がる。

余計な不安がなくなれば、与えられる巧みな刺激に自然と甘い声が漏れた。

「んっ、ああっ……」

一糸まとわぬ体を時間をかけて隅々まで愛される。

ぐったりするほど喘いだら一時的に刺激がやみ、潤んだ目でぼんやりと彼を見つめた。

「いい顔をするね」

満足げに微笑んだ朝陽が、成美を強く抱きしめた。

「力抜いて」

力は入らないと答えようとした次の瞬間、体を貫くような痛みが走り、グッと歯を食いしばった。

「大丈夫?」

心配そうに顔を覗き込む彼に、成美は涙目で頷く。

涙は痛みのせいではない。

婚姻届けを出した時や結婚式も嬉しかったが、ひとつに繋がった今、彼の妻になった実感が押し寄せて胸が震えた。

「嬉しい痛みというものもあるんですね」

痛みをこらえて微笑めば、朝陽がたまらないと言いたげに目を細め、深い口づけをくれた。

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