愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
よく言えばポジティブで、悪く言えば身の程知らずな男だ。

『調子に乗ると後で痛い目に遭うぞ』と何度か注意した記憶がある。

(本当はレベルの高さについていけないとわかって、逃げ帰ったんじゃないのか?)

世界中から優秀な人材が集まるアメリカで出世するのは、日本より難しいだろう。

いくらやる気を見せても結果を出さなければ、簡単に雇用契約を切られそうだ。

久しぶりに会った友人なのでさすがに失礼な指摘はできず、頷くだけにした。

朝陽が黙ったら、佑大がスッと真顔になる。

「それで今の会社に入社したんだ。高い志を持ったいい会社だと思っている。今回の件は、御社に迷惑をかけまいとする真面目さが原因で、規約違反を犯してしまったと聞いた。納期に間に合わないと言い出せなかったそうだ。プロジェクトメンバーは皆、深く反省している。どうかもう一度だけ、仕事を任せてもらえないだろうか?」

どうやら佑大は、依頼した仕事にかかわっていなかったようだ。

朝陽の大学時代の友人だから、取り成せるかもしれないと連れてこられたのだろう。

「朝陽、頼む。この通りだ」

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