愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「君はもっと自分に自信を持っていい。二重の丸い目もちょんとした鼻も、サクランボのように艶のある唇も可愛い。白い肌はスベスベで俺の手にすっぽり収まるこの手は握り心地がいい。なにより自分をしっかり持った芯の強さが魅力的だ。なかなかなびいてくれない頑なさも俺は好きだよ。君の心をゆっくりとかすのは楽しい」

一度夜景を見てから成美に流された色気のある視線に鼓動が跳ねた。

握られていない方の手を熱くなった頬にあて、成美は目を泳がせる。

(褒めすぎよ。恥ずかしくて困る……)

手を引っ張られて距離が近づくと、心臓が壊れそうに波打った。

(こんなにもドキドキするはお酒のせい?)

拳三つ分の距離まで顔を寄せられ、朝陽の声の糖度が上がった。

「目を合わせられないほどとは照れ屋だな。そんなに可愛らしい反応をされると帰したくなくなる。せっかくだから、このホテルに泊まっていく?」

甘い誘いを受けた途端、成美はハッと我に返り、手のひらを彼の顔の前に突きつけた。

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