モノクロに君が咲く



 病室に入ると、鈴はパッと弾かれるように顔を上げた。俺の顔を見た瞬間、まるで蕾が花開くように表情を綻ばせて「先輩!」と嬉しそうに笑った。

 そんな姿に胸の端っこをくすぐられながら、俺は鈴のベッドへ歩み寄った。

「また着替えたの?」

「だ、だって先輩が来るって言うから……」

「いいって言ってるのに」

 鈴がラフな私服を着ているのを見て、俺はしゅんと眉尻を下げる。

 どうもパジャマ姿を見られるのが嫌らしい。入院しているのだから当たり前なのでは、と思うのに、俺が来るときは大抵ちゃんとした格好をしている。

「好きな人の前ではきれいでいたいっていう乙女心なんですよ」

「俺はどんな鈴でも好きだよ」

「っ、それは嬉しいですけど……そういうことじゃなくて」

 うううぅ、と鈴が顔を赤らめながら呻く。
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