モノクロに君が咲く

 お菓子作りの腕前は一級品で、実家は洋菓子屋を営んでいるらしい。

 かえちんはとにかくスポーツ万能で、バレー部のエースだったりする。

 そんな彼女たちに私の病気のことを打ち明けたのは、去年の秋頃だった。

「なんか思い出すよねぇ。ふたりの前で倒れて救急車で運ばれたときのこと」

「笑いごとじゃないよ! あのときは、ほんっとにびっくりしたんだから!」

「んねー。まあでも、あれがあったから、あたしたちは鈴の病気を知ることができたわけだし。今となってはよかったなって思うよ。その場に居合わせてて」

 かえちんの飾らない素直な言葉に、私は思わずくすりと笑った。

 見た目も中身もボーイッシュな性格のかえちんは、一見冷たい印象を覚えられがちだけれど、意外と優しさの塊だったりする。

 そんなツンデレなところが私と円香のつぼに入り、ここまで仲良くなった。

 なんというか、バランスがよいのだ。私たちは。

「……私も、ふたりに話せてよかったって思ってるよ」

 発病してから高校に入学するまで、私は病気のことをひた隠しにし続けてきた。

 もちろん学校の先生は知っていたし、相応の配慮はしてもらっていたけれど、中学の頃はそれを知られるのがひどく怖かった記憶がある。

 多感な時期だから、というのもあるだろう。

 なんとなく、自分が異質な存在として扱われるのが我慢ならなかった。

 知られてしまったら、友だちがいなくなるんじゃないか。腫れ物のように扱われるんじゃないか。そんな恐怖が、いつも心のどこかを巣食っていた。

 でも、実際にこうして打ち明けてしまえば、なんとも気楽なものだった。
< 83 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop