夢幻の飛鳥2~うつし世の結びつき~
その一方で、斑鳩寺の仏像造り破損を企んでいた中臣の者たちは、その計画が失敗してしまい、いつ自分達が罰せられるかとビクビクしていた。
そして彼らはある日、人の目を避けるために古びた小屋の中にひっそりと集まって、ヒソヒソと話し合いを行っていた。
「おい、どうしてこんなことになったんだ。捕まった男達に、我々のことが話されてしまえば、もう完全におしまいだ!」
「とにかく、ここはもう遠くに逃げるほかない」
「そうだな、可多能祜様達にもこの件は伝わってるかもしれない」
「であれば、やはり早く逃げなれば...」
「ふーん、誰が逃げるだって?」
男達はその声を聞いて思わずぞっとした。そして慌てて後ろを振り向く。すると小屋の入り口に、1人の少年が立っており、彼らを少し愉快そうにして見ていた。
「これは御食子様、ど、どうしてここに?」
その場に突然現れた中臣御食子は、そのまま部屋の中に入ってくると、彼らの前で足を止める。彼はとくに怒ってる風でもなく、何を思って愉快そうな表情をしているのか、男たちにも全く読み取れない。
「やれやれ、上手くやれば見逃すこともできたんだけど。でもどうやら失敗だったみたいだね。なら、君達はもう終わりだ」
「み、御食子様、我々は中臣の為を思ってやったことでして...」
「とにかく、この後は俺が引き継ぐ。だから君たちは何の心配もいらないよ」
「ひ、引き継ぐとは?」
「......おい、こいつらをこのまま始末しろ」
中臣御食子が突然そう話すと、彼の後ろから刀をもった男達が、ぞろぞろと中に入ってきた。
「お、お願いです。今回は見逃してください!」
「うるさい。お前達は中臣に泥を塗るようなことをしでかしたんだ。蘇我氏への復讐は俺がやるから、安心して死んでいけ」
彼はその男達に背中を向けると「じゃあ、あとは任せたよ」と軽く手を振りながら話すと、その場から外にさっさと出ていった。その場に残された男たちは、一瞬で、もの凄い恐怖と絶望に陥いる。
そして御食子が小屋の外に出ると、彼の背中からは、先ほどの男達の物凄い悲鳴と叫び声が響いてくる。
(だが、蘇我への復讐をするのはまだ早い。もし俺の代で無理なら、俺の子や孫の代で、必ず成し遂げてみせるさ)
彼はそういってから酷く不気味な笑い声を発した。蘇我一族への復讐、これこそが彼の最大の関心ごとであった。
そして彼らはある日、人の目を避けるために古びた小屋の中にひっそりと集まって、ヒソヒソと話し合いを行っていた。
「おい、どうしてこんなことになったんだ。捕まった男達に、我々のことが話されてしまえば、もう完全におしまいだ!」
「とにかく、ここはもう遠くに逃げるほかない」
「そうだな、可多能祜様達にもこの件は伝わってるかもしれない」
「であれば、やはり早く逃げなれば...」
「ふーん、誰が逃げるだって?」
男達はその声を聞いて思わずぞっとした。そして慌てて後ろを振り向く。すると小屋の入り口に、1人の少年が立っており、彼らを少し愉快そうにして見ていた。
「これは御食子様、ど、どうしてここに?」
その場に突然現れた中臣御食子は、そのまま部屋の中に入ってくると、彼らの前で足を止める。彼はとくに怒ってる風でもなく、何を思って愉快そうな表情をしているのか、男たちにも全く読み取れない。
「やれやれ、上手くやれば見逃すこともできたんだけど。でもどうやら失敗だったみたいだね。なら、君達はもう終わりだ」
「み、御食子様、我々は中臣の為を思ってやったことでして...」
「とにかく、この後は俺が引き継ぐ。だから君たちは何の心配もいらないよ」
「ひ、引き継ぐとは?」
「......おい、こいつらをこのまま始末しろ」
中臣御食子が突然そう話すと、彼の後ろから刀をもった男達が、ぞろぞろと中に入ってきた。
「お、お願いです。今回は見逃してください!」
「うるさい。お前達は中臣に泥を塗るようなことをしでかしたんだ。蘇我氏への復讐は俺がやるから、安心して死んでいけ」
彼はその男達に背中を向けると「じゃあ、あとは任せたよ」と軽く手を振りながら話すと、その場から外にさっさと出ていった。その場に残された男たちは、一瞬で、もの凄い恐怖と絶望に陥いる。
そして御食子が小屋の外に出ると、彼の背中からは、先ほどの男達の物凄い悲鳴と叫び声が響いてくる。
(だが、蘇我への復讐をするのはまだ早い。もし俺の代で無理なら、俺の子や孫の代で、必ず成し遂げてみせるさ)
彼はそういってから酷く不気味な笑い声を発した。蘇我一族への復讐、これこそが彼の最大の関心ごとであった。