オレンジ服のヒーローは全力で彼女を守りたい
海岸へと続く石の階段を下りる。

少しヒールのあるミュールだっただめ、危ないからと脱いだ。

さらさらとした砂の感覚で、素足の裏がくすぐったい。

砂浜に面した低い石段に腰かけ、水着姿でビーチバレーを楽しむ若い子たちを眺めた。

そうか。今は夏休みなんだな。


「海に来るの久しぶり。
学生の頃と違って、もう水着を着て友達とはしゃぐことってなくなっちゃったな」

「あおいちゃんの周りももう社会人だもんね。
自然とそうなってくるよな。
俺も仕事の訓練以外で海なんて来ないし」


くすくす笑う隣の彼を盗み見る。

風を浴びて目を細めるその横顔にキュンと胸が鳴る。

一緒に出かけた日から、私は翔太くんのことばかり考えている。

いや、それよりも前…エレベーターで助けてくれた時からだ。

単純すぎるかな。『吊り橋効果』みたいなものかな。


< 18 / 42 >

この作品をシェア

pagetop