オレンジ服のヒーローは全力で彼女を守りたい
彼女がマンションに引っ越してきたのは1年前だった。

単身のマンションなんて隣近所との交流もないし、このご時世わざわざ引っ越しの挨拶に来ない人だって多い。

だけど、彼女は律儀に挨拶品のタオルを持って訪ねてきてくれたのだ。

その時からかわいい子だなと思っていた。

俺が仕事から帰ってくる時間と彼女の出勤のタイミングがかぶることが多く、挨拶程度はできる。

だけど他に接点はないし、下手に余計なことを話しかけて彼女に警戒されるのも困る。

道端で知り合うほうがまだよかったんじゃないかと思う。

隣人に好かれるというのは気持ち悪いかもしれないし、マンションにもいたくなくなるかもしれない。

そう思いながら1年——


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